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誇り
PRIDE
どの分野の仕事でも、
「こだわり」は
大切だと思いませんか。
こだわりを発揮するとき、モノ作りであればそこに命が吹き込まれ、作品はより一層洗練され、完成度が高まります。
人との接し方であれば、そこに姿勢や心が伝わります。どんな職業でもある種のこだわりは、発する側の満足感を満たし、受ける側の喜びにも繋がると思っています。ただ、それは突詰めれば自己満足に過ぎない。そう仰る人もいるかもしれません。
でも、仕事をする満足感って大切ではありませんか?自分自身が満足できない仕事で人を感動させることができるでしょうか。相手を満足させることができて、さらに喜びが増すのではないでしょうか。私たちの歯科の仕事も、なかなか内容が深く細かい仕事が多いのですが、得てして患者さんにはご苦労をおかけすることが多いものです。
なるべくご負担をおかけしないように日々工夫しておりますが、もし少しでもみなさまにこの仕事の内容を理解していただけたなら、すべて治療の成功のための「こだわり」だと解っていただけるのではないかと思い、このページを作ることにいたしました。
フォーハンドシステム
(4hand system)
能率アップに欠かせない2人の腕
フォーハンドシステムの
必要性について
お口の中は、狭く暗い、そして非常に敏感な組織が集中していますので、どうしても作業しづらい場所です。歯科医師ひとりで作業するのは、器用、不器用という問題ではなく不可能な作業がたくさんあります。
そこで、歯科医師の二本の腕とアシスタント(歯科衛生士や助手)の二本の腕をフルに利用することで、口の中での作業範囲と可視範囲を大幅に広げるができます。常に4本の腕が協同していること、それがフォーハンドシステムです。
アシスタントがいれば、例えば、むし歯を取り除いて、基礎となる材料を歯に詰めるとき、まず消毒をするとき、患者さんに嫌な味をなるべく味わせないよう、アシスタントが適宜吸引してくれる。次にしっかり乾燥させて維持しているところへ、練り上げた薬を詰めたい。そんなときも、もう一人の手が、お口の中の乾燥を手伝ってくれ、暗い口の中にライトを合わせ、タイミング良く薬を練ってくれる。こと接着には乾燥が非常に重要です。そんな一連の作業の手際の善し悪しで患者さんの不快度も、そして治療の完成度、さらには今後の耐久性にも影響します。
優秀な当院のスタッフが
皆様の治療を担当します
通常の治療でもこれだけ作業の確実性がアップするのですから、オペとなれば尚のことです。オペで使用する器具は、テーブルの上にたくさん陳列していますので、アシスタントの先を読んだパステクニックは、ドクターが術部から目を逸らすことなくスムーズに施術する助けになります。当然、アシスタントは術式をマスターしている必要があり、どのようにすれば、次の作業が行ないやすいのか把握しています。当医院のスタッフはみな勤務歴が長いので、ドクターの動き、癖や好みまで?息の合った治療を心がけております。
当医院では、インプラント治療も随時行なっておりますが、清潔域(手術室)の確保のために、さらに第二アシスタントも付いて、6ハンド、8ハンドとなることもあります。直接介助するアシスタントが触れることのできない(清潔域を保つため)外回りを介助したり、器具を運んだりと、全員で患者さんの周囲をお守りしています。
支台歯形成
(歯の形を整えること)
ドクターの腕の見せどころ
今残っている歯を
少しでも長く使えるように
歯を削られるのは、気持ちの良いものではありませんよね。やむを得ず削られるなら、できるだけ短時間にしてもらいたいことでしょう。私たちも患者さんの精一杯の努力、嫌なことなのに一生懸命お口を開けてくださっていることや、奥の方を触られて苦しいことなどを無駄にしたくはありません。一度の来院で出来る限り治療を進め、次に計画的な印象採得*が出来るよう務めております。
支台歯形成とは、歯を削り出して将来被せる詰め物や差し歯(補綴物(ほてつぶつ))に合わせ、適切な形態を付与することです。健全な歯の表面を1ミリから1.5ミリ前後をエアタービンやエンジンで削ることになりますが、この支台歯形成が上手にできるかどうかで、補綴物の出来まで左右されます。さらに、補綴物の種類(オールセラミックなのか、メタルボンドなのか、フルメタルなのか等)、歯の神経の有無によっても形成の仕方は違ってきます。この形成を元に、型を取り、やがてはデンタルテクニシャン(DT:歯科技工士)が差し歯を作製するわけですから、DTにとってもこの形成が重要なのは言うまでもありません。あるDTは「支台歯形成こそ歯科医たる者の存在証明とさえ思うくらい重要な作業」と言っています。ですから、DTは形成を見れば、その歯科医の「こだわり」を感じることでしょう。また、最近ではセラミックの種類も豊富になり、制作システムの中にCAD/CAMが取り入れられています。CAD/CAMが正確に読み取るために必要な形成法も熟知していなければ、出来上がってくる補綴物はしっかりとした適合性を得られないということになります。
彫刻家は様々な種類の彫刻刀を使い、目の前の天然木や石柱などの対象物と向き合うと思います。彫っては眺め、細部を丁寧に仕上げていくように、歯科医師も、目の前の患者さんの一本の歯に向き合い、限られた狭い空間で、周囲の傷つけたくない粘膜に囲まれ、ミクロン単位の彫刻をしているようなもの。しかも相手は生身の人間、動くこともあるし、感情だってある同じ人間です。少しでも不安を取り除き、お辛くないよう、効率的な形成法、良く切れ手に馴染んだ彫刻刀ならぬ形成バー、お声をかけたり、休憩をしていただいたり、目いっぱい形成に集中しながらも、隣りのアシスタントと患者さんの息遣いや表情も気にかけているつもりです。でも少々時間をかけさせてください。これから長く使っていただきたい補綴物を美しく仕上げるための、非常に大切な工程です。患者さんは被せてしまえば見えない部分ですが、ここはこだわらなければなりません。
印象採得(歯型を取ること)
補綴物(被せ物・詰め物)
BOP・歯周組織検査
(歯肉炎・歯周ポケット・根分岐・動揺度の測定)
検査の基本中の基本
「歯を守る」精密検査の
重要性について
初めてご来院されたとき、また治療の際随時この検査を行なうことは欠かせません。この検査は、歯と歯ぐきの境目に、細い測定器具をそっと入れ、その深度や周囲の炎症の有無、歯根表面の異常などを調べるために役立ちます。手指に伝わる感覚から察知するため、ある程度の熟練が必要です。
しかしながら、この検査の際、少し歯肉がチクチク感じるので嫌がられることもあります。もちろん器具を歯ぐきに刺してるわけではありません。治療台で緊張もあるせいか、痛みの感度が増しているのかもしれません。見えない口の中を触られるのは怖いものですよね。この検査は例えるなら、爪の間にシャープペンシル程の、しかも先の丸い器具を軽く入れるような感じです(実際試したのですが、痛くありません)。それで、事前にこの検査の必要性をお話してご協力いただくようにしております。
また、この検査の結果と、レントゲン写真によって、その歯の寿命さえも判断されます。なぜなら、この検査の数値が悪い部分は、その歯の周囲の歯を支える骨が(一時的にせよ)失われているからです。それで、その骨の失われている度合いや、原因と場所を突き止めることが大切です。それは、この先の治療計画にも大きく左右されます。
ということは、この検査の精度は重要です。変化を定期的に見る必要もあります。私たちの医院では、この検査の精度を上げるために、必ず歯の全周囲をくまなく探ります。みなさん、目の前に底の見えない沼があり、そこを渡らなければならないとしたらどうしますか?長い棒を探して底を探りながら、急な深みがないか確認しながら進むのではないでしょうか。歯周ポケット測定はそんな感じです。一か所だけチョコット触っただけでは、解らないのです。また、一旦沼の水を抜くことが出来ればもっと安全に向こう側へ渡ることができるかもしれませんが、歯の場合(特殊な例を除いて)一旦歯を抜いてみて確かめることはできません。
この検査を行なえば、抜かれるのではないかと思っていた歯も、まだ治療する価値があると判断されることもあります。また、何ら症状がなく異常がないように思える歯が、まだ軽度の歯周病であるか否かも判別できますから、予防的にも幅広くこの検査は役に立ちます。
スケーリング・ルートプレーニング
(ポケット内外の歯石除去)
きっちり取りつつ傷つけない
予防歯科のスペシャリスト:歯科衛生士
誰もが歯を抜かずに治したいのではないでしょうか。歯周病だと判明しても、このスケーリング・ルートプレーニングが上手くいかなければ、進行は食い止められないと言っても過言ではありません。では、そのケーリング・ルートプレーニングとは一体何なのでしょうか。歯石を取ってもらった、それだけで大丈夫なのでしょうか。何をもって治ったと言うのでしょうか。
みなさん、壁と机の狭い隙間に大切なものを落としてしまったことはありませんか?隙間の中は目をこらしても、懐中電灯を照らしてみても見えない暗闇。どうしましょう。細い隙間に入りそうな長い棒を探して、懸命に探るのではないでしょうか。細かく丁寧に動かして、棒の先端に意識を集中させるようにして。あまり大きな動きで探れば、かえって落し物を奥に押しやってしまうかもしれません。棒の先端に目があればいいのに…そんな気持ちで探り続けますよね。
歯石といっても、肉眼で見えるものから、歯肉の隙間の中に完全に隠れているものまであり、さらに、簡単にはがせるものもあれば、しっかり歯にこびり付いてしまったものまで様々です。歯石の除去の中でも、やはり隙間の中に隠れて見えず、取れにくいものが困難を極めます。先ほどの例えで、壁の間の隙間に入ったものを、そっと探りながら探すように、時折、歯周組織検査の器具も使いながら、ポケット内を探ります。器具の先から伝わる感覚が勝負です。歯石を感知したらその硬さに応じた力でひっかきとります。しかもできるだけ、スムーズな面を作りながら取り除くことがポイントです。ザラついた面には、また歯垢(プラーク)の温床になりやすく、歯石が再沈着しやすいからです。かといって、歯石をガリガリやみくもに取ればいいのではありません。歯の表面を傷つけすぎると(オーバーインスツルメント)、むし歯や知覚過敏の増大につながるからです。さらには組織の付着を妨げます。要は、歯石を取りつつ、表面を滑らかに平らに仕上げること、これがルートプレーニングです。このように、歯肉の下に隠れて付着した歯垢や歯石は見えませんから、指先の感覚一つで探り当て、削り残しのないように、かつ削り過ぎないように、そして表面が滑らかになるようにすることが最小で最大の効果があると言えます。
もちろん、肉眼でも見える部分の歯石を取る時も同様です。歯肉と歯の境目には、エナメル質とセメント質の境界も近接しており、この二つの組織の硬さは大きく異なります。やはり、オーバーインスツルメントは避ける必要がありますし、スケーリング後のケアも必要に応じて行なうべきでしょう。
その日行なう場所、歯根とポケットの形態、歯肉と歯石の状態などに合わせ、良く研いだ器具を選び、出来るだけ少ないストロークで周囲の組織をなるべく傷つけずに、出来る限り一回の処置で仕上げ、患者さんに痛い思いをさせないよう行なうこと、ここが歯科衛生士のこだわる部分です。現在、様々な器具が開発されているものの、器具の到達性(歯肉の隙間から深い位置にある歯石まで)には限界がありますが、そこに挑戦してみるのも歯科衛生士の醍醐味といえるでしょう。
先に説明しました、歯周組織検査でのポケットの数値が4〜5ミリであれば、スケーリング・ルートプレーニングのみで治せます。歯根の形態が複雑でない場合は6ミリ超えのポケットでも外科処置を伴わずに正常数値まで改善したケースはたくさんあります。これは、一時的なポケットの減少ではなく、レントゲン写真による骨レベルの安定、数年に渡る定期検診の際に再発のないことを確認しています。(ちなみに、プラークで歯根面が汚染され、ポケットが10ミリ前後まで進んでしまった場合、通常どのような処置を行なってもその歯を救うことは無理とされています。)
やむを得ず歯肉の外科処置を伴う治療になったとしても、このスケーリング・ルートプレーニングの技術は欠かせません。複雑な歯根形態や周囲の骨も異常な吸収を示している場合は、やはり作業に困難をきたします。非外科・外科問わず、スケーリング・ルートプレーニングテクニックは治療後の治りに影響を及ぼすのです。